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フェードイン・フェードアウトさせる

  

中間点を使ってフェードイン・フェードアウトさせよう

AviUtlを使った動画の制作にも慣れてきた頃でしょうか。 編集もそれなりに進み、残す作業は、

  1. 先頭の1秒間をフェードインさせる
  2. 最後の1秒間をフェードアウトさせる
  3. 最後の2秒間を徐々にぼかす

のみとなりました。 この記事では、前後1秒のフェードイン・フェードアウトを行います

なお、フェードインは先頭に入れたタイトルが消えた直後から実施します。 つまり、猫の映像の先頭と最後の1秒をフェードイン・フェードアウトさせます。 タイトル部分はフェードインには含めません

中間点の利用

映像や音声をフェードイン・フェードアウトさせるには中間点を利用するのがオススメです。 正確に言うと、フェードイン・フェードアウトだけでなく、一部の区間(時間)に特別な効果をかけるには中間点が便利です。 中間点というのは、オブジェクトの内部を区間に分けるためのものです。

  
中間点を使わなくてもフェードイン・フェードアウトさせることはできます。 できますが、中間点を使うほうが作業効率が良いため、この記事では中間点を使ってフェードイン・フェードアウトさせています。

中間点で区間に分ける

オブジェクトには中間点を追加することができます。 オブジェクトに1つ中間点を追加すると、オブジェクトは2つの区間に分かれることになります。 さらに中間点を追加すると、オブジェクトは3つの区間に分かれることになります。

つまり、中間点は区間の区切りです。 中間点という名前ですが、オブジェクト内での位置は中間でなくても構いません。 10秒のオブジェクトを、5秒 + 5秒で分けてもいいですし、1秒 + 2秒 + 7秒で分けることも、1秒 + 4秒 + 3秒 + 2秒のように分けることもできます。

中間点とフェードイン・フェードアウトの関係

タイトルを色ずれさせた記事で解説しましたが、AviUtlでは設定ウィンドウの各項目は開始点と終了点で別々の値を設定することができます。 そして、開始点から終了点への変化方法も選ぶことができます。

中間点を追加してオブジェクトを区間に分けると、それぞれの区間で開始点・終了点の値を設定できるようになります。

今回の例では、映像トラック・音声トラックの10秒間を、A区間(1秒) + B区間(8秒) + C区間(1秒)に分けます。 そして、それぞれの区間を、

  1. A区間の開始点は暗く・音量0%
  2. A区間の終了点は明るく・音量100%
  3. B区間の開始点は明るく・音量100%
  4. B区間の終了点は明るく・音量100%
  5. C区間の開始点は明るく・音量100%
  6. C区間の終了点は暗く・音量0%

と設定します。 つまり、A区間でフェードイン、C区間でフェードアウトします。

分割との違い

中間点で区間に分けることの利点は何なのでしょうか。 キーボードのSによる分割と何が違うのでしょうか。

キーボードのSで分割すると、オブジェクトとして分かれてしまいます。 すると、拡張編集ウィンドウ上での操作が連動しません。 オブジェクトの移動や削除を、分割後のそれぞれのオブジェクトで実施しなくてはならないのです

複数選択すれば複数のオブジェクトをまとめて操作できますが、CTRLキーを押さなければならないため操作が面倒です。 中間点を使って区間を分ければ、オブジェクトとしては1つです。 そのため、オブジェクトの移動や削除等の操作が今まで通りに行えます。

中間点を追加して区間に分ける

フェードイン・フェードアウトの設定の前に、まずはオブジェクトを区間に分けます。 映像トラック・音声トラックの両方を対象に、それぞれ2つの中間点を足して3つの区間に分けます

中間点を追加する場合は、その位置にカーソルを移動させておく必要があります。 1つ目の中間点は映像トラック・音声トラックの1秒目、つまり、プロジェクトの3秒目の位置です。

テロップ用のテキストの開始点が3秒目ですので、このテキストを利用して3秒目に移動してみましょう。

1. テロップ用のテキストを選択する
1. テロップ用のテキストを選択する

上図のようにテロップ用のテキストを選択します。

では、このテキストの先頭フレームの位置へ移動しましょう。

2. 設定ウィンドウの[先頭フレーム]ボタンを押す
2. 設定ウィンドウの[先頭フレーム]ボタンを押す

上図のように設定ウィンドウの[先頭フレーム]ボタン([先頭フレーム]ボタン)を押します。

3. 3秒目のフレームへ移動する
3. 3秒目のフレームへ移動する

上図のようにカーソルがピッタリ3秒目の位置へ移動します。

次に、中間点を追加するオブジェクト、つまり映像トラックを選択します。

4. 映像トラックを選択する
4. 映像トラックを選択する

上図のように映像トラックを選択します。 これで、中間点を追加する準備ができました。

5. 3秒目のフレームでキーボードのPを押す
5. 3秒目のフレームでキーボードのPを押す

上図のように(1)で現フレームが3秒目であることを確認し、(2)のようにキーボードのPを押します

  
"midPoint" から連想して覚えましょう。
  
オブジェクトのマウスの右クリックで表示されるメニューからも中間点を追加することができます。 ただし、その場合はクリックした位置に追加されてしまい、カーソル位置への追加にはなりません。

拡張編集ウィンドウの右クリックメニューから "環境設定" を開き、"中間点追加・分割を常に現在フレームで行う" をチェックすればカーソル位置への追加にすることはできます。
6. 中間点を表す三角マークが出現する
6. 中間点を表す三角マークが出現する

上図のように新たに三角マークが出現します。 この三角マークが中間点の位置を表しています。

中間点が追加され、オブジェクトの内部が1秒 + 9秒の2区間に分かれました。 なお、オブジェクトとしては10秒のままです。 では、映像トラックの9秒目、および音声トラックの1秒目・9秒目にも中間点を追加してください。

7. 計4つの中間点を追加する
7. 計4つの中間点を追加する

上図のように計4つの中間点を追加します。 これで、映像トラック・音声トラックともにそれぞれ3つの区間に分けることができました。 A区間1秒 + B区間8秒 + C区間1秒に分かれています。

フェードイン・フェードアウトの設定

映像トラック・音声トラックともに、それぞれA区間1秒 + B区間8秒 + C区間1秒に分けることができました。 ここからは、それぞれの区間にフェードイン・フェードアウトの設定をしてきます。

A区間がフェードインで、C区間がフェードアウトです。 映像トラックのフェードイン・フェードアウトは透明度の調整で変化させます。 また、音声トラックのフェードイン・フェードアウトは音量の調整で変化させます。

  
B区間はフェードインもフェードアウトもしませんから、現在の設定のままで変更の必要はありません。

まずは、映像トラックのA区間から設定しましょう。

1. 映像トラックのA区間を選択する
1. 映像トラックのA区間を選択する

上図のように映像トラックのA区間を選択します。 このように、選択中の区間のみが点線で囲まれます。

ではこの区間に、透明度の変化をつけます。 開始点が透明度 100 で、終了点が透明度 0 になるように設定します。

2. 変化方法を直線移動に変更する
2. 変化方法を直線移動に変更する

上図のように(1)の[透明度]ボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、表示されるメニューから(2)の "直線移動" を選択します。

この設定により、開始点と終了点の間の1秒間で、透明度が直線的に変化する設定になりました。 そして、終了点の値も設定できるようになりました

  
変化方法はオブジェクト単位で設定されます。 区間ごとではありません。

では、開始点と終了点の値をそれぞれ設定しましょう。

3. 開始点を 100 に終了点を 0 に設定する
3. 開始点を 100 に終了点を 0 に設定する

上図のように開始点を 100 に、終了点を 0 に設定します。 この設定により、透明度が 100 から 0 に1秒かけて一定量で変化するようになりました

続いて、映像トラックのC区間を設定します。

4. 映像トラックのC区間を選択する
4. 映像トラックのC区間を選択する

上図のように映像トラックのC区間を選択します。

この区間は、A区間とは逆の設定を行います。 開始点が透明度 0 で、終了点が透明度 100 になるように設定します。

5. 開始点を 0 に終了点を 100 に設定する
5. 開始点を 0 に終了点を 100 に設定する

上図のように開始点を 0 に、終了点を 100 に設定します。 これで、映像トラックのフェードイン・フェードアウトの設定は終わりです。

続いては音声トラックの設定を行いましょう。 音声トラックのフェードイン・フェードアウトは音量の調整で変化させます。

6. 音声トラックのA区間を選択する
6. 音声トラックのA区間を選択する

上図のように音声トラックのA区間を選択します。

ではこの区間に、音量の変化をつけましょう。 開始点が音量 0 で、終了点が音量 100 になるように設定します。

7. 変化方法を直線移動に変更する
7. 変化方法を直線移動に変更する

上図のように(1)の[音量]ボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、表示されるメニューから(2)の "直線移動" を選択します。

では、開始点と終了点の値をそれぞれ設定しましょう。

8. 開始点を 0 に終了点を 100 に設定する
8. 開始点を 0 に終了点を 100 に設定する

上図のように開始点を 0 に、終了点を 100 に設定します。 この設定により、音量が 0 から 100 に1秒かけて一定量で変化するようになりました

最後に、音声トラックのC区間を設定します。

9. 音声トラックのC区間を選択する
9. 音声トラックのC区間を選択する

上図のように音声トラックのC区間を選択します。

この区間は、A区間とは逆の設定を行います。 開始点が音量 100 で、終了点が音量 0 になるように設定します。

10. 開始点を 100 に終了点を 0 に設定する
10. 開始点を 100 に終了点を 0 に設定する

上図のように開始点を 100 に、終了点を 0 に設定します。


これで、フェードイン・フェードアウトの設定は完了です。 A区間でフェードインで、C区間でフェードアウトするように設定することができました。

  

中間点を追加した場合の長さの変更について

中間点を追加してオブジェクトを区間に分けた場合は、長さの変更にちょっとした注意が必要です。 拡張編集ウィンドウを右クリックして表示される "長さの変更" からは、区間の長さを変更できないのです。

"長さの変更" によて変更されるのはオブジェクトの長さです。 区間の長さではありません。

区間の長さは、設定ウィンドウのバーの右クリックで表示される "選択区間の長さ変更" から行います。 以下が区間の長さの変更の例です。

1. 選択区間の長さ変更を実行
1. 選択区間の長さ変更を実行

上図のように設定ウィンドウのバーを(1)のようにマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックし、表示されるメニューの(2)の"選択区間の長さ変更"を実行します。

2. 長さの変更(区間)ウィンドウ
2. 長さの変更(区間)ウィンドウ

上図のように『長さの変更(区間)』ウィンドウが表示されますので、秒数指定(またはフレーム数指定)を変更して[OK]ボタンを押します

  
拡張編集ウィンドウ上でも、区間の境界をドラッグすることで区間の長さを変更することはできます。
  

まとめ

キーボードのPを押すことで、選択中のオブジェクトに中間点を追加することができます。 中間点はカーソル位置に追加されます。

操作/コマンド 説明
P 選択中のオブジェクトのカーソル位置に中間点を追加する

中間点を追加することで、オブジェクトを複数の区間に分けることができます。 キーボードのSによる分割とは違い、中間点を使って区間を分ければオブジェクトとしては1つのままです。 そのため、オブジェクトの移動や削除等の操作が今まで通りに行えます。

追加された中間点は、拡張編集ウィンドウ上では三角マークで表示されます。 つまり、三角マークが区間と区間の区切りです。

それぞれの区間ごとに、設定ウィンドウの各項目で開始点・終了点を別々に設定することができます。 なお、開始点から終了点までにどう変化させるかを選択する "変化方法" はオブジェクト単位で設定されます。 区間ごとではありません。

中間点を追加してオブジェクトを区間に分けた場合は、長さの変更にちょっとした注意が必要です。 オブジェクトそのものの長さを変更するなら拡張編集ウィンドウから、選択区間の長さを変更するなら設定ウィンドウから操作しましょう。

操作/コマンド 機能
(オブジェクトの上で)
マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)
-> "長さの変更"
オブジェクト全体の長さを変更する
※『長さの変更(全体)』ウィンドウが表示される
(設定ウィンドウのバーの上で)
マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)
-> "選択区間の長さ変更"
オブジェクトの選択区間の長さを変更する
※『長さの変更(区間)』ウィンドウが表示される
 
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