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先頭にタイトルを入れる(その2)

  

タイトルを入れてみよう(続き)

前の記事の『先頭にタイトルを入れる』からの続きです。 前の記事ではタイトル用のテキストを作成し、表示させる文字や位置・大きさの設定を行いました。 この記事では、作成したタイトル用のテキストに『色ずれ』の効果を足します。

色ずれの効果を足す

作成したタイトル用のテキスト "今日のハナちゃんの様子" に色ずれの効果を足します。 色ずれとは、色を赤・緑・青成分に分離し、そのうち2つの成分をずらす効果です。

色の赤・緑・青成分での分離
色の赤・緑・青成分での分離
  
色ずれはフィルタの1つです。 画像処理の世界では、ノイズ除去や色調補正・モザイク化・輪郭抽出など画像の前処理のことをフィルタと呼びます。 AviUtlには多くのフィルタが用意されており、色ずれはその中の1つです。

フィルタの追加は設定ウィンドウで行います。 作成したタイトル用のテキストが選択されていることを確認し、選択されていなければ選択してください

1. [+]ボタンを押す
1. [+]ボタンを押す

上図のように設定ウィンドウの右上にある[+]ボタンを押します。

2. "色ずれ"を選択する
2. "色ずれ"を選択する

上図のようにフィルタの一覧が表示されますので、"色ずれ" を選択します。

3. 設定ウィンドウの下部にフィルタの設定項目群が追加される
3. 設定ウィンドウの下部にフィルタの設定項目群が追加される

上図のように設定ウィンドウの下部に、色ずれフィルタの設定項目群が追加されます。 各項目の意味は以下の通りです。

(1)の三角マークは、このフィルタの設定項目群を折りたたむ / 展開するためのボタンです。 フィルタの設定を終えたら折りたたむのもいいでしょう。 その隣のマウスのマークは、このフィルタのメインウィンドウ上での枠の表示のオン/オフを切り替えるためのものです。 ウィンドウの一部の表示領域にフィルタをかける場合などには意味がありますが、今回のフィルタでは押しても変化はありません。

(2)はフィルタの名称とフィルタの有効/無効を切り替えるためのチェックボックスです。 チェックボックスのチェックを外すと、その間はフィルタは一時的に無効になります。

(3)の色ずれの種類は、分離する成分2つをどれにするか、また方法はどうするかを選択します。

- 色ずれの種類 -
選択肢 説明
赤緑A 赤成分:ずらす
緑成分:ずらす
青成分:もとの位置のまま
赤青A 赤成分:ずらす
緑成分:もとの位置のまま
青成分:ずらす
緑青A 赤成分:もとの位置のまま
緑成分:ずらす
青成分:ずらす
赤緑B 赤緑Aと同じずらし方だが明るさは変わらない
※暗くならない
赤青B 赤青Aと同じずらし方だが明るさは変わらない
※暗くならない
緑青B 緑青Aと同じずらし方だが明るさは変わらない
※暗くならない

(4)のずれ幅は、本来の位置から移動させる距離です。 大きい値にすればするほど、本来の位置から離れます。

(5)の角度は、移動させる方向のことです。 0で上に、90で右に、180で下に、270で左に移動します。 色ずれでは2つの成分をずらしますが、1つはここで指定した角度で、もう1つは180度反対の角度で移動します。

(6)の強さは、色成分の分離の割合です。 0だと分離せず、100で完全に分離します。

  
『強さ』は、わかりにくいため補足しておきます。 なお、白色のテキストに色ずれをかけるものと仮定します。

色ずれは、色を赤・緑・青成分に分離し、そのうち2成分を移動させる効果です。 例えば色ずれの種類に "赤緑A" を選ぶと赤成分と緑成分が移動し、青成分はもとの位置のままです。

『強さ』が 100 の場合、白色のテキストから、赤成分と緑成分が完全に分離されます。 結果、赤色と緑色と青色に別れます。 そして、赤色と緑色が移動します。

『強さ』が 50 の場合、白色のテキストから、赤成分50%と緑成分50%が分離されます。 結果、暗い赤色(赤成分50%)と暗い緑色(緑成分50%)と薄紫色(赤成分50% + 緑成分50% + 青成分100%)に別れます。 そして、暗い赤色と暗い緑色が移動します。

ではここで、追加した色ずれフィルタを削除します。 削除の方法を説明しておきたいので。

4. 右クリックして表示れるメニューからフィルタ効果の削除を実行
4. 右クリックして表示れるメニューからフィルタ効果の削除を実行

上図のように設定ウィンドウのフィルタの設定項目群を(1)のようにマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックし、表示されるメニューの(2)の"フィルタ効果の削除"を実行します。

5. 色ずれフィルタが削除される
5. 色ずれフィルタが削除される

上図のように設定ウィンドウから色ずれフィルタの設定項目群が消えました。 このように、フィルタの削除は右クリックで表示されるメニューから実施します。 かなり、わかりにくいです。

  
筆者は、初めてフィルタを使った時に削除方法がわからなくて悩みました。

では、再び色ずれフィルタを追加しましょう。 手順は、すでに説明した通りです。

6. 再び色ずれフィルタを追加する
6. 再び色ずれフィルタを追加する

上図のように再び色ずれフィルタを追加します。

では色ずれフィルタの設定を調整しましょう。

7. 色ずれフィルタの設定を調整する
7. 色ずれフィルタの設定を調整する

上図のように設定を調整します。 色ずれの種類を "赤緑B"、ずれ幅を 5、角度を 0.0、強さを 100 に調整します。 ずれ幅 / 角度 / 強さ は初期値のままだと思います

この設定でテキストがどう見えるのか、メインウィンドウで確認してみましょう。

8. メインウィンドウ上で確認
8. メインウィンドウ上で確認

上図のようにメインウィンドウ上で確認します。 色ずれの種類が "赤緑B" であるため、赤成分と緑成分が移動しています。 また、角度が 0.0 であるため移動先は真上と真下です。 ずれ幅が 5 であるため大きくは移動しておらず、重なっている部分が多くあります。

ではここでプレビューしてみましょう。 メインウィンドウの[再生]ボタン([再生]ボタン)やスペースキーを押して再生してみましょう。

9. メインウィンドウ上での再生
9. メインウィンドウ上での再生

上図のようにメインウィンドウ上で再生されます。 結果はどうだったでしょうか。 『色ずれ』していますが、揺れているようには見えません

揺らすためには、フレームごとに角度を変える必要があります。 しかし、まだその設定はしていません。 ですので、現状では揺れません。


というわけで、次にやるのはフレームごとに角度を変える設定です。 その設定は、AviUtlでは簡単に実現できます。

AviUtlでは、設定ウィンドウの各項目は、開始点と終了点で別々の値を設定することができます。 開始点とはテキストの左端、つまり0秒目の位置です。 同じく終了点はテキストの右端、つまり2秒目の位置です。

つまり、0秒目と2秒目の設定値を別にすることができる、ということです。 そして、その間の変化の方法も色々なものが用意されており、ランダムに変化させることもできます。

具体的には、開始点(0秒目)は角度を 0.0 のままとし、終了点(2秒目)は角度を 360.0 とします。 そして、その間の変化はランダムにします。 結果、2秒の間、フレームごとに角度が 0.0 から 360.0 の間をランダムに変化することになります。

では、実際に設定しましょう。 作業は設定ウィンドウで行います。

10. 変化方法をランダム移動に変更する
10. 変化方法をランダム移動に変更する

上図のように(1)の[角度]ボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、表示されるメニューから(2)の "ランダム移動" を選択します。

この設定により、開始点と終了点の間の2秒間で、角度がランダムに変化する設定になりました。 そして、注目すべきは終了点の値を設定できるようになったことです。 設定ウィンドウに注目してください。

11. 角度の右側の値が操作できるようになっている
11. 角度の右側の値が操作できるようになっている

上図のように今まで無効になっていて操作できなかった右側も、今は操作できるようになっています。 右側の値が終了点の値となります

このように変化方法を初期値の "移動無し" から変更することで、右側も操作できるようになります。 左側の値が開始点の値で、右側の値が終了点の値です。

  
変化させることができるのは、フィルタの設定項目だけではありません。 テキストや映像トラックおよび音声トラックの設定項目である X / Y / Z / 拡大率 / 透明度 / 回転 / 再生位置 / 再生速度 / サイズ / 表示速度、また、音声トラックの設定項目である 音量 / 左右 / 再生位置 / 再生速度 も変化をつけることができます。

では、終了点が 360.0 となるように設定しましょう。

12. 角度の終了点の値を 360.0 に設定する
12. 角度の終了点の値を 360.0 に設定する

上図のように角度の終了点の値(右側の値)を 360.0 に設定します。 左側と同じように、数値部分をクリックして入力することも、スライダで設定することも、数値部分のドラッグで増減させることもできます。

では、再度プレビューしてみましょう。 メインウィンドウの[再生]ボタン([再生]ボタン)やスペースキーを押して再生してみましょう。

13. メインウィンドウ上での再生
13. メインウィンドウ上での再生

上図のようにメインウィンドウ上で再生されます。 今回はタイトル用のテキストが揺れたように見えました。 フレームごとに色ずれの角度がランダムに変化したためです。

タイトルに関する作業はこれで終わりです。 目標の通りに、色ずれで揺れる2秒間のタイトルを入れることができました。

  

フィルタには3種類の適用方法がある

この記事では、テキストに色ずれフィルタを追加しました。 追加は、設定ウィンドウの[+]ボタンから行いました。 実は、AviUtlでのフィルタの適用方法は全部で3通りあり、設定ウィンドウの[+]ボタンでの追加はそのうちの1つです。

今回のように設定ウィンドウの[+]ボタンからフィルタを追加すると、フィルタは対象のオブジェクトにのみ適用されます。 今回の例では、タイトル用のテキストにのみ適用されます。

また、適用される表示領域はオブジェクト全体です。 今回の例では、タイトル用のテキストの全ての文字に影響を与えます。

そして、適用される区間(時間)はオブジェクトの最初から最後までです。 今回の例では、タイトル用のテキストが表示される2秒の間、ずっと適用されます。

つまり、

  1. 複数のオブジェクトにフィルタをかける
  2. 表示領域の一部にのみフィルタをかける
  3. 一部の区間(時間)にだけフィルタをかける

ということはできません。 複数のオブジェクトに影響を与えるフィルタをかけたり、一部の表示領域や一部の区間(時間)だけフィルタをかける場合は、他の2つの方法でフィルタを適用する必要があります。

詳細については別途解説しますので、ここでは省略します。 フィルタには3種類の適用方法がある、ということだけ覚えておいてください

  

まとめ

AviUtlには様々なフィルタが用意されています。 フィルタとは、ノイズ除去や色調補正・モザイク化・輪郭抽出などの画像処理の前処理のことです。

AviUtlには3通りのフィルタの適用方法がありますが、1つのオブジェクトの全表示領域/全区間(時間)にフィルタをかけるなら設定ウィンドウの[+]ボタンからフィルタを追加します。

フィルタを追加すると、追加したフィルタ用の設定項目群が増えます(設定ウィンドウ)。 設定ウィンドウの設定項目の多くは、開始点と終了点で別の値を設定することができます。 ただし、変化方法が初期値の "移動無し" のままでは開始点の値しか設定できません。

変化方法を変更することで、終了点の値も設定できるようになります。 変化方法には、無作為に変化させる "ランダム移動" や 一定量で変化させる "直線移動" などがあります。

フィルタは、設定ウィンドウのフィルタの設定項目群を右クリックして表示されるメニューから "フィルタ効果の削除" を実行することで削除することができます。

操作/コマンド 機能
(設定ウィンドウのフィルタの設定項目群の上で)
マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)
-> "フィルタ効果の削除"
フィルタを削除する
 
メニュー